35周年を迎えて
- 「ピンチ(不況)こそチャンス」 会長 尾 上 誠 一
- 「価値あるものづくり」 副会長 中 村 隆 弘
- 「新たなる前進に向けて」 副会長 品 岡 日出男
- 「女性会員を増やそう」 副会長 洪 水 京 子
- 「飛来した《こうのとり》」 副会長 田 邊 實
「ピンチ(不況)こそチャンス」
姫路発明研究会 会長 尾 上 誠 一
昨今は不況、デフレの大合唱で、経営不振の原因を自社以外に求めようという傾向が強いように思います。また現実の問題として中小企業の70%が5年連続で赤字申告と言われていますが、実際には社長の報酬や会社が借りている土地や建物の貸借料を引下げたり、減価償却費の計上を控えたりしているので実質的に90%が赤字体質に近いでしょう。
これらの要因には、中国の台頭による影響が40%、公共建設工事関係予算が2/3になった影響が20%と、約60%がのしかかっており、これには如何なる手段をもってしても勝ちようがないと言われています。
しかし、残り40%は本来の競争社会が残っており、何もしない企業が多い中で創意とやる気次第ではまだまだ充分な余地が残されている筈です。
特に多くの経営者が、どうしてよいか打つ手が分からず疲弊しているために、まさにピンチはチャンスなのです。大変だ大変だと無策でいるよりも、「大きく変わった」と読めばいくらでも変わったところに目をつけて、アイデアと工夫が生まれてくる筈です。
発明研究会に参加されることは、異業種の参加者から得られる情報を糧として、この時代なればこその生き様ができるのではないでしょうか。
本年は当会が発足後35周年に当ります。これを記念して4月より専門部会を発足させ、会員の皆さんに少々実りある研究に参加して頂いて、その活動を助成して行きたいと考えています。
とにかく日曜発明学校に多くの仲間を誘って参加しましょう。そしてできるだけ多くのアイデア発表をしましょう。
何しろ買わない宝くじは当籤するはずがないのですから。
不況を乗り切るキーワード
●お客様のもつ現金と、自社の商品サービスを交換した時しか利益は出ない。
●人間が栄養とカロリーを摂り続けないと生きられないように、企業も同じで売上や粗利益がないと、やがては倒産する。
●分かっていることと実際にすることは別になっている。どうすれば分かっていることを実行できるのかは、自分の問題である。
●弱い立場にある者は、強者との対決をさけて弱者でないと出来ないことに限るべきだ。
「価値あるものづくり」
副会長 中 村 隆 弘
いま世間ではメーカーにおいて大きなリストラ、改革がおこなわれています。
私事で申し訳ありませんが私の勤めている会社でも昨年4月に72の部課を半分の36にする大きな改革を行いました。私は製造の担当となり『我社でしかできないものづくりをやろう』といってきました。
その結果はまだですが、私のものづくりについての考え方は、今年新年の例会でお話させていただきました。
ものづくりの3要素は人、物、金、といわれてきました。いまではQ、C、D、という人のほうが多いのです。
日本でものづくりをする値打ちは何か?という問いに対し、C.単純にただものを安くつくるだけでは中国に勝てない。Q.品質とD.即時性(納期)で勝つのだという事でSCM、サプライチェーンマネージメントが流行しています。また月産5000台以下の商品はどんどん国内生産の方向に逆流している現状もありますが、私はそれだけではないと思っています。
まず、将来につながるものづくりです。今製造している商品の製造技術を使って応用して将来こんなもの、こんな製品が創れる、造りたいと思いながら、願いながらやっていくものづくりです。
もっと欲をいえば「あの人が作ったというのが値打ちであるものづくり」をやりたいとも思っています。
陶芸の世界にはこんなことはざらにありますが、、、また昨年、平成14年には、子供たちになんとしてもものづくりのおもしろさを味わせたいという思いで、姫路少年少女発明クラブがたちあがりました。
全国で150番目、兵庫県で4番目ということです。指導員が多数必要となっています、皆様方のより一層のご理解と、ご支援、ご協力をよろしくお願いいたします。
「新たなる前進に向けて」
副会長 品 岡 日出男
本年8月に姫路発明研究会は創立35周年を迎えます。永年にわたりご助成とご支援をいただいている各機関の方々に心より感謝申し上げます。
また、創立以来、一度の休みもなく日曜発明学校を開催されてきた諸先輩に心より敬意を表します。
現在、姫路発明研究会の運営に携わっている一員として、創立35周年の年度を迎えるに当たり、より有意義で実践的な姫路日曜発明学校となるよう、活動内容を充実していきたいと思いますので、多数の方々の積極的なご参加とご協力をお願いいたします。
午前に行われるアイデア発表は、会員等が日頃の創作活動状況を発表する場でありますが、発表後のフォローが不充分なためか、多くのアイデアについて顕著な成果が得られていない傾向にあります。
そこで、発表されたアイデア毎に、客観的な評価と今後の指針等について、より適切な助言等を行うことにより、創作活動を支援していきたいと思います。
午後に行われる知的財産権講座は、従来、工業所有権(特許、実用新案、意匠、商標)の出願から権利取得までの知識取得を主目的として実施してきましたが、本年度からは、研究開発に必要な資金を調達するための補助金制度、特許等を実施許諾する場合の実施料、企業間等で発生する不正競争防止法等、知的財産権に関連する様々な情報を幅広く提示していきたいと思います。
本年度も、会員はもとより、多くの方々が参加いただきますよう、よろしくお願いいたします。
「女性会員を増やそう」
副会長 洪 水 京 子
いま姫路発明研究会の日曜発明学校が、毎月第3日曜日、青山の科学館で現在開催されています。
当日会員さんが毎月数名来られますが、その月のみで後は来られなかったり、またその時、正会員の手続きをされる人、色々の職業の人が集まって来られます。
この会はボランティアとして市民レベルの運営を先輩の人達で長く続けられてきました。当日の会は午前中が会員からの試作品発表やアイデア商品が発表され、何でも相談とかでわいわいとなごやかにすすめられます。午後は特許の勉強や講演を聞いたりしていますが、女性会員の出席が少ないので、これから私はもっと女性参加を呼びかけていきたいと思います。
時代と共にIT部も出来ると益々年齢の事など考えず、どんどんみなさんについていくのが大変ですが、当会員さんの交流などもあり、非常に高齢化の進む中に有難いことだと感謝しています。
構えて発明品をつくろうとすると出来ません。毎日の生活の中から生まれるヒラメキで人の役に立つものづくりが誕生するものと思っています。
益々の当発明研究会が発展していきます事を心からお祈りいたします。
「飛来した《こうのとり》」
副会長 田 邊 實
先日「昨年8月から、兵庫県の豊岡市に野生の“こうのとり”が1羽帰って来ました」とテレビで報道していました。
昭和30年代に野生のものが姿を消して、ずいぶん時間が経ってからのうれしい話でした。
なぜ、姿を消してしまったのでしょうか。
それまでは、豊かな自然環境に恵まれて育っていた“こうのとり”も、人間の発明した農薬により、どじょうがいなくなり、鮒が…、田螺が…、生き物が…。そして、食べる物が無くなって生きていけなくなったようです。(このような例は至る所に有りますね)
この事に気付いた人たちは、それからというもの人工孵化等に力を入れました。
田圃等の環境が元の自然状態に回復するまでには、非常に多くの時間がかかります。現在の田圃は、雪が降ると雪がそのまま残ってしまい、昔のような水溜まりの出来る湿田では無くなっているのです。当然のことながら“こうのとり”の餌となる小動物は得られなくなります。今年の冬、飛来した1羽も田圃で餌が得られないため、人工飼育のケージで餌を食べていました。
「ものを作るなら7代先の人が、安心して使えるものを作る」と、言われているのを聞いたことがあります。目先のことのみに囚われた発明、不便だから便利にしようという発明、今後これらをやめて、発明に限らず何事も先々の環境のことを考えて、じっくりと行動する必要があるとつくづくと感じる次第です。
今回、飛来した“こうのとり”は、中国の方から来たんでしょうか。ぜひ、住み着いて人工飼育の“こうのとり”とカップルになって、自然の中で増えていって欲しいと願っています。